●蒼い月と

蒼い月を見ていた
孤独な夜のつめたいミルクの
わたしを見下ろした光のなかで
ちいさな手足をのばしている
今だけを
抱きしめている
今だけを生きている
蒼い月は知っている
孤独な夜のつめたい心
わたしを作り上げたものは
ただ今だけを生きる
ひとつひとつの
ちいさな粒

光にさえとけず
なにものにもなれない

 
posted by: 安田りさ | | 23:38 | comments(0) | - | - |

●雲の色

憂鬱を模した雲の形
流れる髪は誰の声

私の指先
君に触れない
冷たすぎて世界が割れた

雲さえ凍る灰色の国で
私は誰を愛するのでしょう

花の咲かない渇いた大地で
私は誰を待ちつづけるのでしょう

私の指先
君に触れない
憧れたあの声は掠れた雨音

 
posted by: 安田りさ | | 16:42 | comments(0) | - | - |

●秋の河原で

影が結ぶ
夕暮れ
音は溢れて
涙は溢れて

愛は分からず溢れ出て
あなたの足下を流れていく

あなたの足をすくい
溺れさせるほど

けれどあなたはおぼれる前に
誰かの手をとっていたから

わたしの愛はきれいなまま
知らないうちに流れて消える



posted by: 安田りさ | | 20:26 | comments(0) | - | - |